ジャパンカップに外国馬が来ない問題への提言 4

ジャパンカップ

こんにちは、こんばんは。ゆきやなぎと申します。

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たまたま縁あってこの記事からご覧になった方へ、

このブログでは、東京大学出身・ITコンサルタントであるゆきやなぎが、近年問題になっている「ジャパンカップに外国馬が来ない問題」について解決案を(勝手に)提言させていただいています。

内容の骨子としては、外国馬にジャパンカップ出走してもらうことを、顧客に商品を買ってもらうこと(=マーケティング)に見立て、マーケティングでよく使われる分析手法である「3C分析」を使って外国馬を呼び込むにはどうしたらよいかを検討しています。

ここまで、ジャパンカップを改革する上での前提事項の確認、および3Cのうち1つ目である「顧客」の分析について実施してきました。(本記事のタイトルが「~提言4」となっているように、これ以前に3つの記事があります。)

これまでの記事については以下のリンクからご参照いただければ幸いです。

1(一般的な解決策である「複数G1同日開催」への反論)
2(ゆきやなぎの改革案の前提条件/「3C分析」の導入)
3(「顧客」分析の結果)

それでは分析を進めます!

② Competitor=競合 について

まず、議論の前提として、外国馬に出走してもらうにあたっての、ジャパンカップの「競合」とは何か、を定義しておければと思います。

ここでは、ジャパンカップの「競合」とは、ジャパンカップと競走馬の誘致を奪い合っている(または将来的に奪い合うことになる)各国のレースであるということと定義いたします。

ちなみに前回記事の、「顧客」の段で述べたように、ジャパンカップが今後誘致していくべき競走馬は「欧州中長距離の実力馬」とゆきやなぎは考えているため、
競合も、欧州中長距離の実力馬を奪い合うような、2000~2400mの芝G1レース(基本的に高額賞金かつステータスも高いレース)ということになってきます。

世界のレーススケジュールを確認

それでは、世界の芝2000~2400mのG1レースに関するスケジュール(10~12月)を確認します。

※下記スケジュール表の出所は、前回の記事でまとめた芝2000mのスケジュール芝2400mのスケジュールをつなぎ合わせたものです。JRA-VANの資料を基に作成しています。

ご覧の通り11月~12月の芝2400m路線はG1が過密で、特にジャパンカップはBCターフ・香港ヴァーズの中間に位置していることから、BCターフ→香港ヴァーズというローテーションの場合は余裕を持った転戦もできる一方で、
ジャパンカップはその両方共と転戦が難しい状況になっています。(BCターフはアメリカとの距離が遠い&中2週と間隔も不十分・香港は近いが中1週である状況。)

しかも、欧州馬にとっての馬場適正や、地元馬との力関係により、欧州馬が好走できる可能性においても、BCターフ・香港ヴァーズのほうがジャパンカップよりも高いという状況にあります。

以上のような原因により、現状のジャパンカップは芝2400m路線において欧州馬に出走先として選ばれない状況、すなわち、BCターフや香港ヴァーズといった競合に負けている状況になっているのです。

【ジャパンカップが選ばれない原因のまとめ(競合観点)】
・2400m路線の中で、開催時期が悪い。
・日本馬が強すぎる。

上記の原因のうち2点目については仕方のないことなので、対策としては1点目の開催時期を変更することを考えていきます。

開催時期の変更を検討する

では、開催時期はどのように変更すればよいか?

日本馬が強すぎる以上、欧州の強豪でもジャパンカップでは勝てない可能性があります。

その前提で、欧州馬陣営の気持ちになって考えると、わざわざ日本に遠征する場合は、「ジャパンカップで勝てなくても、より勝ちやすいレースに転戦できる(つまりダブルチャンスがある)」という場合になるのではないでしょうか。

★欧州馬陣営が、勝てる見込みの薄いジャパンカップに遠征してくれる状況…
  …
「ジャパンカップは難しいチャレンジだが勝てば大きなリターンが受けられる+ジャパンカップに勝てなくてもより勝ちやすいレースでのダブルチャンスがある。」

欧州馬陣営の気持ちになって考えたとき、この状況こそが、ジャパンカップに出走してもらえるようになる状況なのではないかと考えた次第です。

そのように考えたとき、ジャパンカップの後のチャンスとして浮かび上がるレースとは…?
それが、香港国際競走のレースです。

香港国際競走は、中長距離のカップ・ヴァーズのレベルが比較的低く(代わりにスプリント・マイルは世界最高峰ですが)、欧州馬にとっては魅力的な「ダブルチャンス」として認識されえます。
また日本と香港の距離が近く、輸送の観点でも転戦しやすいということもプラスの材料です。

あとは、ジャパンカップに出走してくれた遠征馬について、香港国際競走までの期間を日本で快適に過ごしていただけるためのサービスを行うことができれば、より欧州馬陣営にとって魅力的となるに違いありません。(JRAがそのようなサービスを行うことは十分に可能と考えています。詳しくは「自社」の章で述べます。)

以上から、ジャパンカップについては、次に香港国際競走へ転戦できるような開催時期にすることが求められると考えています。

2400m路線にはBCターフが存在…!

開催時期を変更し、次に香港国際競走へ転戦できる時期にするべきであることは述べた通りですが、その場合、開催時期は10月下旬~11月中旬になってきます。(凱旋門賞と香港国際競走の間)

しかしながら、芝2400mの場合、BCターフが存在しているのです。

競馬好きの方であればご存じと思いますが、BCターフとは、アメリカの競馬の祭典であるブリーダーズカップを構成する芝G1で、
・賞金は高額(1着賞金2,080,000米ドル=3億円以上)であるだけでなく
・地元馬は強力ではないにも拘らずブリーダーズカップの一員というだけでステータスも高く
・アメリカは比較的ヨーロッパから近いことも相まって遠征しやすい…
など、様々な理由で欧州中長距離の実力馬に出走してもらうことに成功しているレースとなります。

2023年は同年の英愛ダービー馬である(ディープインパクト産駒としても有名な)Auguste Rodinが優勝しています。

そのため、仮にジャパンカップが芝2400mのまま、開催時期を10月下旬~11月上旬に移動したとしても、BCターフという非常に強力な競合と戦う必要が生じてしまいます。

ジャパンカップのほうが香港に地理的に近い(=転戦しやすい)というという点は優位とはいえ、BCターフはそのほかに極めて欧州馬陣営にとって遠征しやすい条件がそろってしまっており、ジャパンカップにとっては、芝2400mのままでは開催時期を変更しても状況はあまり好転しないと考えられます。

2000m路線ではどうか?

それでは、芝2000mに、ジャパンカップの距離を変更した場合、どうなるかを考察します。

なお、意外と思われるかもしれませんが、ヨーロッパでは芝2000mと芝2400mは別路線として扱われています。詳細については前回記事のほうをご覧ください。→こちら

欧州芝2000m路線において、ヨーロッパにおける実質的に最後のG1は10月中~下旬の英チャンピオンステークスです。11月以降主要なヨーロッパ平地レースはオフシーズンとなり、欧州地域外への遠征も活発化します。

しかし、芝2000m路線においては、欧州地域外の遠征となる主なレースは、12月の香港カップしかないのが現状で、10月下旬~12月に空白期間が広がっています。

そこで、11月第3週の芝2000mへジャパンカップを移動させるという変更案を考えてみました。

すると、以下のようなレーススケジュールとなりました。

ご覧になって、いかがでしょうか?

ジャパンカップが、芝2000m路線において、英チャンピオンSと香港カップの間に上手く収まっています!(イギリス→日本の遠征は中3週・日本→香港は中2週で、移動距離とレース間隔の関係も適正です。)

これによって、英チャンピオンSに出走した欧州の実力馬が、ジャパンカップに遠征し、香港カップとの「ダブルチャンス」も狙う…、という構図が実現できているのではないかと考えています。

よって、現状の競合に関して検討した結果、

・11月第3週の芝2000mへジャパンカップを移動させる

という変更案が有力に思えてきます。

しかし、これはあくまでも現時点のレーススケジュールにおいての話であることが重要です。

その案は、未来に向けても安定か?

仮にジャパンカップを「11月第3週、芝2000m」に移動させたとしても、他国がすぐに真似をして、ジャパンカップから外国馬を奪えるようであれば、結局うまくはいかないのです。

しかし、ゆきやなぎとしては、

他国がジャパンカップの真似をすることはできない

ということは、しっかりと裏付けできると考えています!

世界中の主要競馬場のコース形状、各国内のレーススケジュール、その他さまざまな要素を考慮した上での、かなり自信のある裏付けになっておりますので、是非引き続きご覧いただけますと幸いです。

【次回展望】他国がジャパンカップの改革案を真似できないことの裏付けへ

気が付けば記事の文字数も4000を超えてしまい、だいぶ長くなってしまったので、こちらの裏付けから、次回の記事の回したいと思います。

次回の記事はこちらをクリック

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

それでは!

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