ジャパンカップに外国馬が来ない問題への提言 5

ジャパンカップ

こんにちは、こんばんは。ゆきやなぎと申します。

このブログでは、近年日本競馬で課題となっている「ジャパンカップに外国馬が来ない問題」について、対策案を提言しています。

この記事からご覧になった方へ

たまたま縁あってこの記事からご覧になった方へ、

このブログでは、東京大学出身・ITコンサルタントであるゆきやなぎが、近年問題になっている「ジャパンカップに外国馬が来ない問題」について解決案を(勝手に)提言させていただいています。

内容の骨子としては、外国馬にジャパンカップ出走してもらうことを、顧客に商品を買ってもらうこと(=マーケティング)に見立て、マーケティングでよく使われる分析手法である「3C分析」を使って外国馬を呼び込むにはどうしたらよいかを検討しています。

ここまで、ジャパンカップを改革する上での前提事項の確認、および3Cのうち「顧客」「競合」の分析について実施してきました。(本記事のタイトルが「~提言5」となっているように、これ以前に4つの記事があります。)

これまでの記事については以下のリンクからご参照いただければ幸いです。

1(一般的な解決策である「複数G1同日開催」への反論)
2(ゆきやなぎの改革案の前提条件/「3C分析」の導入)
3(「顧客」分析の結果)
4(「競合」分析の結果①)

本日は「競合」分析の続きです!

前回の記事で、世界の大レースにおけるスケジュールを確認したところ、

①ジャパンカップについては、次に香港国際競走へ転戦できるような開催時期にするべき。
②芝2400mではなく芝2000mに変更するべき

その結果

・11月第3週の芝2000mへジャパンカップを移動させる

べきなのではないかという結論がでました。

しかし、その結論は、世界各国が今後、ジャパンカップの真似をしてこないことが前提です。ジャパンカップが変革の結果、海外馬を集めることができるようになったとしても、そのやり方を模倣されてしまっては、また元に戻ってしまうということです。

そこで…、

他国がジャパンカップの真似をすることはできない

ということを裏付けしていく必要性があるということで、今回はその証明をやっていければと考えています!

他国が真似できないことの裏付け

ヨーロッパで11月の大レース創設は考えにくい

はじめにヨーロッパ各国について考えてみます。

ジャパンカップで集めたい外国馬は、基本的に欧州馬であるため、仮にヨーロッパ自体で11月に大レースが開催されてしまうと、相当な脅威となりえます。

しかし、今後ヨーロッパで11月に大レースが創設される可能性は低いと考えています。

理由としてはやはり、多くの競馬好きの方はご存じのように、ヨーロッパでは10月下旬以降がオフシーズンとなるためです。

また、ヨーロッパ競馬については各国ともに主催者にお金がなく、高額賞金のレースをいきなり創設することができる可能性も低いと思われます。

アメリカはコース形状ゆえ芝2000mの開催ができない

次にアメリカについて考えます。アメリカも、BCターフなどで欧州馬を集めることに成功しているので、仮に芝2000mの大レースを創設されてしまった場合は大変な脅威となります。

アメリカが最も脅威となるシナリオは、ブリーダーズカップに芝2000mのレースが組み込まれることです。

しかし、この可能性については、アメリカの競馬場のコース形状の関係でまずありえません。

なぜなら、アメリカの競馬場は大多数が統一されたコース形状を持っており、芝2000mを開催しようとすると、スタート地点が3/4コーナーの途中ということになるためです。

また、芝のコースはダートより内側にあるため、引込線を設けることもできないのです。

(サンタアニタ競馬場には、ダートコースを横切る芝の引込線がありますが、極めて例外的なもの言えます。)

それでも、アメリカも広いため、例外的にコース形状が異なり、芝2000mで開催できる競馬場もあるにはあります。

しかしながら、ブリーダーズカップは米国内の様々な競馬場で「持ち回り」にて開催されているため、例外的に開催できる競馬場があるからと言って、レースができるわけではないのです。

なお、例外的なコース形状を持つ競馬場が独自に芝2000mのレースを創設する可能性についてですが、これについては実現性はあるものの、ほとんど脅威にならないと思われます。

BCターフが例外的なだけで、それ以外のアメリカの芝レースは、レベル・ステータスともに不十分になりますし、そもそもブリーダーズカップも11月に行われる中で、同時期に別の高額賞金G1などが開催される可能性は低いでしょう。

サウジ/ドバイ/香港で大レースが創設されたらどうなるか…?

サウジアラビア/ドバイ/香港において、11月に芝2000mの国際競走が創設された場合についても検討する必要があります。

しかし、最初に断っておきますと、これらの地域については、芝2000mのレースを開催できないという裏付けはできませんでした。

ただし、これらの地域でレースが新設されたとしても、ジャパンカップの国際性は保たれるというのがゆきやなぎとしての考えとなります。以下にその考えを述べます。

正直に申して、これらの地域でレースが開催されることを防ぐことは困難です。

しかし、これらの地域で11月に高額賞金G1レースが行われるようになった場合、日本からも有力馬が参戦するようになり、ジャパンカップに参戦する有力な日本馬が減少することが考えられます。

※現実としてフェブラリーSや大阪杯が、サウジ/ドバイの影響で手薄になっているのです。

それによって、
・ジャパンカップの日本馬が手薄になる→欧州馬がチャンスととらえて参戦するようになる
というサイクルが生まれる可能性が高いと思われます。

よって、結果的にジャパンカップの国際性は保たれると考えています。

とはいえ、ヨーロッパやアメリカに比べれば大きな脅威だといえるでしょう。

オーストラリアは大丈夫

次に、オーストラリアについても考えてみたいと思います。

オーストラリアについても評価が難しいものです。

まず、11月はオーストラリアにとっても競馬のハイシーズンで、芝2000mのレースを実施することも可能…というより、既に芝2000mの大レースが行われている状態なのです。

・オーストラリア、フレミントン競馬場では2024/11/9に芝2000mのChampions Stakesが開催される
・賞金総額300万豪ドル/1着賞金180万豪ドル (1豪ドルは約100円→賞金総額およそ3億円)

【参考 racenet > Champions Stakes 2024】
https://www.racenet.com.au/group-one-races/champions-stakes

現状このレースの出走馬は地元馬が主のようですが、今後、さらなる賞金増額などにより国際的なレースに育ってくる可能性があります。

しかし、ゆきやなぎの考えとしては、オーストラリアの大レースは、厄介な競合にはならないと考えています。

なぜならジャパンカップが狙っている、英チャンピオンS~香港カップの間の空白期間について、オーストラリアのレースが脅威になるとは考えにくいからです。

なぜならジャパンカップが狙っている、英チャンピオンS~香港カップの間の空白期間について、オーストラリアのレースが脅威になるとは考えにくいからです。

ジャパンカップが英チャンピオンS~香港カップの間の期間を狙うべきということについてはこちらを参照ください。

イギリス~オーストラリア~香港の輸送距離が遠すぎるため、それらのレースを転戦することは現実的ではないのです。

結果的に、オーストラリアに11月、芝2000mの大レースが生まれるとしても、ジャパンカップとは以下の図のように共存できると思われます。

その他(トルコ・インド・ブラジルなど):将来的には脅威となりうる

最後に、その他の国についても確認します。

ここまでで、現時点(2024時点)で特に競馬が盛んで目立っている国・地域について取り上げました。競馬への資金・ステータスなど考慮したうえで、現時点で競合と思われるところはこれくらいかと思われます。

しかし将来的には、これら以外の国・地域でも競馬が盛んになり、新たな競合として浮上してくる可能性は大いにあるといえるでしょう。

中でもトルコ・インド・ブラジルあたりについては、ヨーロッパから比較的近いことも相まって、将来的にBIGなレースを誕生させてくる可能性も大いにありそうです。

しかし、そういったレースが誕生しても、ジャパンカップに高いブランド力・ステータスがあれば、引き続きジャパンカップを選んでもらえる可能性も高まるわけです。ブランド力やステータスは、先に始めていたものの特権です。

それも含めて、少しでも早くジャパンカップが国際競走として世界に名をとどろかせるため、今後いち早くの改革が求められてくるのではないでしょうか。

まとめ

世界各国・地域について、ジャパンカップ(改革版)と同じ時期・距離のレースをすることができるかおよびジャパンカップの脅威となるかについて見てきましたが、まとめると以下のようになります。

サウジ/ドバイ/香港といったアジア各国がライバルに!

結論としては、ヨーロッパ・アメリカ・オーストラリアは将来的にも大丈夫である一方、サウジ/ドバイ/香港といったアジア各国・地域は将来的にジャパンカップの改革案を模倣し、ライバルになる可能性がある(その他の国・地域は未知数)ということになります。

とはいえ、アジア各国・地域の脅威については、仮に芝2400mであったとしても変わらないことでありますし、芝2400mであればそれらに加えて、ブリーダーズカップ(アメリカ)も現実の脅威として立ちはだかっていたことを考えると、少なくとも芝2000mにしたほうが良かったのだと感じています。

また、これらの国・地域で大レースが行われることにより、日本馬が国外に分散してジャパンカップが手薄になり、結果的にヨーロッパ陣営にとっても参戦しやすくなるということも考えられるのです。

※日本馬が手薄になれば欧州馬が来てくれるのかについては、海外陣営・海外馬主などへのアンケートで検証すべき/可能であれば大阪杯をジャパンカップと同じ条件にするなどして実証実験を行えればと思うところではあります。。

「11月第3週の芝2000m」へ変更した場合の競合分析を強化できた

ここまで、お付き合いいただきありがとうございました。

将来的な模倣の可能性/それによる脅威度合いの検討まで実施できたことで、「競合」分析については十分にできたのではないかと考えております。

将来的なリスクまで考えたときに、スパッと歯切れ良く提言できてしまうことなどありえず(もしそれができたら今までは一体何をしていたんだということになってしまう)、何かしらの欠点は生じるものだと思います。

それでも、私としては、「競合」分析を通して「11月第3週の芝2000m」へ変更する改革案は十分に推せるものだと感じました。

読んでくださった皆様は、どのように思われましたでしょうか??

【次回展望】3Cの最後:「自社」分析へ

ここまでで、「3C分析」のうち、2つのC(顧客・競合)について分析することができました。

※「3C分析」とは何かについては、こちらをクリック

※なぜ3C分析を使っているのかについては、こちらをクリック

次回は、3Cの最後である「自社」の分析に移っていきます。

引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。

それでは!

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